专利摘要:
リチウム又はリチウム合金を含むアノードと、二硫化鉄(FeS2)及び炭素粒子を含むカソードと、を有する一次電池。電解質は、有機溶媒混合物に溶解したリチウム塩を含む。電解質は、電解質百万重量部当たり約100〜2000重量部(ppm)の水を電解質中に含む。電解質は、電解質百万重量部当たり約200〜2000、又は水約500〜2000重量部の水を含んでよい。カソードスラリーは、二硫化鉄粉末、炭素、バインダー、及び液体溶媒を含んで調製される。混合物は導電性基材上に被覆され、溶媒が蒸発されて乾燥カソード被膜が基材上に残留する。アノード及びカソードは、アノードとカソードとの間のセパレータと共に螺旋状に巻かれ、電池ケーシング内に挿入された後、電解質が添加される。
公开号:JP2011510467A
申请号:JP2010543592
申请日:2009-01-14
公开日:2011-03-31
发明作者:マイケル、ディーン、スリガー;マイケル、ポジン
申请人:ザ ジレット カンパニー;
IPC主号:H01M6-16
专利说明:

[0001] 本発明は、リチウム金属又はリチウム合金を含むアノードと、二硫化鉄を含むカソードと、リチウム塩及び添加された水を有する有機溶媒を含む電解質と、を備えた一次リチウム電池に関する。]
背景技術

[0002] リチウムからなるアノードを備えた一次(非充電式)電気化学電池は公知であり、商業的に広く使用されている。アノードは、本質的にリチウム金属を含む。そのような電池は、典型的には、二酸化マンガンを含むカソードと、非水溶媒に溶解されたトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)等のリチウム塩を含む電解質と、を備える。この電池は、当技術分野にて一次リチウム電池(一次Li/MnO2電池)と称され、一般に充電式として意図されていない。リチウム金属アノードを有するが、異なるカソードを有する代替的な一次リチウム電池が知られている。そのような電池は、例えば、二硫化鉄(FeS2)を含むカソードを有し、Li/FeS2電池と指定されている。二硫化鉄(FeS2)はまた、黄鉄鉱としても知られている。Li/MnO2電池又はLi/FeS2電池は典型的には円筒形の電池の形態を有し、一般にAAサイズ又はAAAサイズ電池であるが、他のサイズの円筒形電池であってもよい。Li/MnO2電池は約3.0ボルトの電圧を有し、この電圧は従来のZn/MnO2アルカリ電池の2倍であり、更にまたアルカリ電池のエネルギー密度よりも高いエネルギー密度(電池体積cm3当たりのワット−時間)を有する。Li/FeS2電池は約1.2〜1.8ボルトの電圧(新品)を有し、この電圧は従来のZn/MnO2アルカリ電池とほぼ同じである。しかしながら、Li/FeS2電池のエネルギー密度(電池体積cm3当たりのワット−時間)は、類似サイズのZn/MnO2アルカリ電池よりも高い。リチウム金属の理論比容量は、3861.4mAmp−時間/グラムにて高く、FeS2の理論比容量は、893.6mAmp−hr/グラムである。FeS2の理論比容量は、FeS2分子当たり4つのLiから4つの電子が移動して、元素鉄Fe及び2つのLi2Sの反応生成物を生じることに基づく。即ち、4つの電子のうち2つがFeS2のFe+2に関する+2の酸化状態を、元素鉄(Fe0)の0に変化させ、残りの2つの電子が硫黄の酸化状態をFeS2の−1からLi2Sの−2に変化させる。電気化学的反応を行うために、アノードにて生成されたリチウムイオン、Li+が、セパレータ及び電解質媒体を通してカソードへ輸送される必要がある。]
[0003] 全般的なLi/FeS2電池は、同じサイズのZn/MnO2アルカリ電池よりも遙かに強力である。即ち、所定の連続電流放電、特に200ミリAmpを越えるより高い電流放電において、電圧は、Li/FeS2電池に関して、電圧対時間プロファイルにて明らかであり得るように、Zn/MnO2アルカリ電池と比較してより長期間、より平坦である。このLi/FeS2電池から得られるより高いエネルギー出力における結果を、同じサイズのアルカリ電池に関して得られるものと比較した。Li/FeS2電池のより高いエネルギー出力はまた、新品の電池が少量の0.01ワットから5ワットの範囲の固定された連続電力出力において完全に放電される、一定電力(ワット)でのエネルギー(ワット−時間)対連続放電のグラフプロットにおいてもより直接的に明らかに示される。そのような試験において、電力放電は、0.01ワット〜5ワットから選択される一定の連続電力出力に維持される(放電中に電池の電圧が降下するにつれ、負荷抵抗が徐々に低下されて電流放電を上昇させ、固定されたの一定電力出力を維持する)。Li/FeS2電池に関するエネルギー(ワット−時間)対電力出力(ワット)のグラフプロットは、同じサイズのアルカリ電池のものを越える。両方の電池(新品)の出発電圧がほぼ同じ、即ち、約1.2〜1.8ボルトであってでもである。]
[0004] それ故、Li/FeS2電池は、Li/FeS2電池が従来のZn/MnO2アルカリ電池と交換可能に使用することができ、かつより長い耐用年数を有する点で、特により高い電力要求に関して、同じサイズのアルカリ電池、例えば、AAA、AA、C若しくはDサイズ又は任意の他のサイズの電池を凌ぐ利点を有する。同様に、一次(非充電式)電池であるLi/FeS2電池は、Li/FeS2電池とほぼ同じの電圧(新品)を有する同じサイズの充電式ニッケル水素電池の代替物として使用することができる。]
[0005] Li/MnO2電池及びLi/FeS2電池は、両方とも、リチウムアノードが水と反応するため、従来より非水電解質を使用している。Li/MnO2又はLi/FeS2電池用の電解質は、典型的には、特定の有機溶媒の組み合わせに溶解したLiCF3SO3(LiTFS)又はLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)等の特定の電解質塩を含む。一般に、水を電解質溶媒に添加しないことと、このような溶媒中の含水量が微量に制限されていること、を供給元に明示することが慣習であった。即ち、一次Li/MnO2電池に関して電解質溶媒中に存在する任意の水は、好ましくは溶媒百万重量部当たり50重量部未満であることが慣習であった。(多数のリチウム電池に関して電解質溶媒中の約100ppm未満、好ましくは50ppm未満の含水量を記載している、米国特許第6,280,883 B1号を参照されたい。(しかしながら、Li/FeS2電池は、この引用中には詳細に述べられていない。)いずれにしても、リチウム電池に関しては、電解質溶媒に水を添加しないことが慣習であった。供給元は、一般に、電解質溶媒を乾燥又は精製して、溶媒中の含水量が消費者の仕様の範囲内であること、を確実にし得る。そのような電解質溶媒中の含水量の制限は、特に商業的な一次Li/MnO2電池に適用されている。Li/MnO2電池において含水量をできる限り低く保つことは標準的な慣習と考慮されていたため、この慣習を、より最近の一次リチウム電池、特にLi/FeS2電池に拡大することは自然である。Li/FeS2一次電池に関して、米国特許第2005/0277023 A1号の引用は、水が電解質の汚染物質であり、電解質中に500重量ppmを越える水が存在してはならないこと、を教示している。(段落122、1〜5行目)
ある水性電解質系、即ち、水が添加された電解質系は、非水有機電解質系と比較して、より高い導電率を有し得る。これは、水が一般に、有機溶媒と比較して電解質塩のより良好なイオン化を促進するためである。しかしながら、Li/MnO2等のリチウム電池においては、主に水がリチウム金属と反応し、また電解質溶媒を含む電解質材料とも反応し得るため、電解質溶媒中の含水量を微量に制限し、水を添加しないことが重要であると考慮されてきた。これはリチウムアノードの表面を被覆する反応生成物を生成し得る。そのような被膜は、リチウムアノード表面での「パッシベーション層」と称されてもよく、この層は電池の性能及び効率を有意に低減する可能性がある。しかしながら、リチウムアノードでの全ての「パッシベーション層」が同じなわけではない。即ち、そのようなパッシベーション層の化学組成及びそのアノード表面上での蓄積速度(安定性)は、電解質に添加された水の量と、使用されている特定の電解質塩及び電解質溶媒とに応じて異なり得る。]
[0006] それ故、本出願人は、使用される特定の電解質塩及び溶媒を含む電解質の化学組成と、添加される水の量とに応じて、電池の性能を有意に損なわないLi/FeS2電池のためのリチウムアノードでのパッシベーション層の生成が可能であること、を見い出した。同時に、水が電解質に添加されるため、電解質はより導電性であり、それ故Li/FeS2電池に関して非常に良好な全般的な電池放電性能を促進する。]
[0007] カソード材料は、従来の被覆方法によって典型的には金属基材である基材上に容易に被覆し得るスラリー混合物の形態で最初に調製されてよい。電池に添加される電解質は、Li/FeS2系のための好適な電解質であり、所望の高電力出力の範囲にわたって、必要な電気化学的反応を効率的に生じさせる。電解質は、良好なイオン伝導性を有し、また十分安定であり、即ち放電されていない又は一部放電された電極材料(アノード及びカソード成分と反応せず、放電生成物とも反応しない必要がある。これは、電解質と電極材料(放電され若しくは未放電の又は一部放電された)との間の望ましくない酸化/還元反応が、電解質を徐々に汚染し、その有効性を低減し、又は過剰なガス発生をもたらすためである。これは、次に電池破損をもたらし得る。それ故、Li/FeS2電池に使用される電解質はまた、必要な電気化学的反応の促進に加えて、放電され、一部放電され又は未放電の電極材料との接触に安定である必要がある。電解質溶媒は、良好なイオン移動度と、アノードからカソードへのリチウムイオン(Li+)の輸送と、を可能にする必要があり、それにより電解質が必須の還元反応に携わり、カソード内でLi2S生成物をもたらす。]
[0008] 一次リチウム電池は、フラッシュ付きデジタルカメラ用の電力電源として使用され、カメラは個々のアルカリ電池によって供給されるものよりも高いパルス状電力要求での作動を必要とする。一次リチウム電池は、従来、リチウム(又は基本的にリチウムからなるリチウム合金)のシートから形成されたアノードと、導電性金属基材(カソード基材)上のFeS2を含むカソード活性材料の被膜から形成されるカソードと、アノードとカソードとの間の電解質透過性セパレータ材料のシートと、を含む電極複合体から形成されている。リチウム電池のための微小孔性ポリプロピレンは、例えば、米国特許第4,794,057号に開示されている。電極複合体は、例えば、米国特許第4,707,421号に示されるように、螺旋状に巻かれて電池ケーシング内に挿入されてよい。]
[0009] 螺旋状に巻かれたアノードシートの一部は、一般に、電池の負極を形成する電池ケーシングに電気的に接続されている。電池は、ケーシングから絶縁された端部キャップにより閉鎖されている。カソードシートは、電池の陽極を形成する端部キャップに電気的に接続されていてよい。ケーシングは、一般に、端部キャップの周囲端部上で曲げられて、ケーシングの開放端部を封止している。電池は、内部でPTC(正の熱係数)デバイス又は同様の物が取り付けられて、電池が短絡放電又は過熱等の不正な条件に晒された場合に、電池を停止することができる。]
[0010] Li/FeS2電池のアノードは、銅等の金属基材上にリチウム金属又はリチウム合金の層を積層することにより形成され得る。しかしながら、アノードは、いずれの基材も有さないリチウム又はリチウム合金のシートから形成されてよい。]
[0011] 一次Li/FeS2電池で使用される電解質は、「有機溶媒」に溶解された「リチウム塩」から形成されている。電解質は、リチウム塩のイオン化を促進し、リチウムイオンがセパレータを通してアノードからカソードへ良好な輸送速度で通過できるように、リチウムイオンの良好なイオン移動性を提供しなければならない。Li/FeS2一次電池用の電解質中に使用され得る代表的なリチウム塩は、米国特許第5,290,414号及び同第6,849,360 B2号に言及されており、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、LiCF3SO3(LiTFS);リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CF3SO2)2N(LiTFSI);ヨウ化リチウム、LiI;臭化リチウム、LiBr;テトラフルオロホウ酸リチウム、LiBF4;ヘキサフルオロリン酸リチウム、LiPF6;ヘキサフルオロ砒酸リチウム、LiAsF6;リチウムメチド、Li(CF3SO2)3C;LiClO4;ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、LiBOB及び様々な混合物等の塩が挙げられる。Li/FeS2電気化学の分野において、リチウム塩は必ずしも交換可能ではなく、これは特定の塩が特定の電解質溶媒混合物と共に最良に働くためである。]
[0012] 米国特許第5,290,414号(Marple)にはFeS2電池に関する有益な電解質の使用が報告されており、ここで、電解質は、非環式(環式でない)エーテルベースの溶媒である第二の溶媒との混合物での1,3−ジオキソラン(DX)を含む溶媒に溶解したリチウム塩を含む。言及されている非環式(環式でない)エーテルベースの溶媒は、ジメトキシエタン(DME)、エチルグリム、ジグリム及びトリグリムであってよく、好ましくは1,2−ジメトキシエタン(DME)である。実施例に示されるように、1,2−ジメトキシエタン(DME)は、電解質中に相当な量、即ち、40又は75容積%のいずれか(7段目、47〜54行目)で存在する。実施例に示されるような、そのような溶媒混合物(1種又は複数種)中でイオン化可能な特定のリチウム塩は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、LiCF3SO3である。他のリチウム塩、即ちリチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CF3SO2)2Nも7段目、18〜19行目に言及されている。この引用は、3,5−ジメチルイソオキサゾール(DMI)、3−メチル−2−オキサゾリドン、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ブチレン(BC)、テトラヒドロフラン(THF)、炭酸ジエチル(DEC)、エチレングリコールサルファイト(EGS)、ジオキサン、硫酸ジメチル(DMS)及びスルホラン(請求項19)から選択される第三の溶媒、好ましくは3,5−ジメチルイソオキサゾールを場合により添加し得ること、を教示する。]
[0013] 米国特許第6,849,360 B2号(Marple)には、Li/FeS2電池に関する特定の好ましい電解質が開示されており、ここで、電解質は、1,3−ジオキソラン(DX)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、及び少量の3,5ジメチルイソオキサゾール(DMI)を含む有機溶媒混合物に溶解されたヨウ化リチウム塩を含む。(6段目、44〜48行目)電解質は、それらの間にセパレータを有する乾燥アノード/カソード螺旋が電池ケーシング内に挿入された後、電池に添加される。]
[0014] 米国特許第2007/0202409 A1号(Yamakawa)には、Li/FeS2電池のための電解質溶媒を参照して、段落33に、「有機溶媒の例には、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル、炭酸ジメチル、及び炭酸ジプロピルが挙げられ、それらの任意の1つ、又はそれらの2つ以上は、独立して、又は混合溶媒の形態で使用することができる。」と述べられている。]
[0015] そのような明言は、当技術分野が、溶媒に溶解される特定のリチウム塩に応じて、電解質溶媒の特定の組み合わせのみがLi/FeS2電池を働かし得るであろうこと、を教示しているため、誤解を招く虞がある。(例えば、上記の米国特許第5,290,414号及び同第6,849,360号を参照されたい)Yamakawaの引用は、上記のリストのいずれの溶媒の組み合わせが、いずれの所定のリチウム塩と共に使用されるかを教示していない。]
[0016] 従来のFeS2粉末、例えばChemetall GmbH製のPyrox Red 325粉末は、商業的に入手可能であり、pHを上昇させる添加物を含み、粉末の酸性の任意の蓄積を相殺し又は遅延させる。そのような添加物は、炭酸カルシウム(CaCO3)、又は他の化合物に結合した炭酸カルシウムを含むと思われる。そのような炭酸カルシウムは、FeS2粉末に添加されて、粉末が周囲空気中で保管され、また酸素及び湿気に暴露されたときに、粉末中又は粉末表面上の酸性不純物の形成を遅延させる。これは、FeS2が、カソード混合物又は他の用途、例えば、自動車のブレーキの製造における添加物としての使用が意図されるか否かにかかわらない。]
先行技術

[0017] 米国特許第6,280,883 B1号
米国特許第2005/0277023 A1号
米国特許第4,794,057号
米国特許第4,707,421号
米国特許第5,290,414号
米国特許第6,849,360 B2号
米国特許第2007/0202409 A1号
米国特許第6,849,360号]
発明が解決しようとする課題

[0018] したがって、電解質に水を添加することにより、Li/FeS2電池のための1種以上の有機電解質系の導電率を改善する利益を実現することが望ましい。]
[0019] Li/FeS2電解質に添加し得る水の量の範囲を見出して、有益な電池性能を実現して改善された電解質導電率をもたらす一方、水と電池成分との反応による有害な副反応を抑えることが望ましい。]
[0020] デジタルカメラの電力のための充電式バッテリーに代わって使用できる良好な速度能力を有する一次(非充電式)Li/FeS2電池を製造することが望ましい。]
課題を解決するための手段

[0021] 本発明は、アノード活性材料としてのリチウム又はリチウム合金を含むアノードと、カソード活性材料としての二硫化鉄(FeS2)を含むカソードと、を有する一次電気化学電池に関する。アノード及びカソードは典型的には、それらの間にセパレータシートを有して螺旋状に巻かれて、電極アセンブリを形成する。巻かれた電極アセンブリを電池ケーシング内に挿入した後、電解質溶液が添加される。電解質は典型的には、有機溶媒混合物に溶解したリチウム塩を含む。好ましい電解質溶液は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/494,244号と同様、1,3ジオキソラン(70〜80容積%)とスルホラン(20〜30容積%)との溶媒混合物に溶解されたLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)塩の混合物を含む。約0.05〜1.0重量%、例えば約0.1重量%のピリジンを電解質に添加して、1,3−ジオキソランの少量の重合の機会を低減する。]
[0022] 主な態様において、通常の使用中に電池の性能に有意に悪影響を与えずに、電解質溶液に所定の量の水を添加し得ることが見い出された。詳細には、電解質中の含水量が、電解質百万重量部当たり約1000重量部(ppm)の水までであるように、水を電解質に添加し得ることが見い出された。驚くべきことに、約1000ppmまでの電解質の電解質中の含水量は、例えば、電池がデジタルカメラの電力として使用されるべきものである場合、通常の使用状況中に、電池性能に悪影響を顕著に与えないことが見い出された。]
[0023] 驚くべきことに、電解質に対する約1000ppmの総含水量のレベルまでの添加水は、電解質の導電率を改善する。電解質の導電率の増大に由来する利益は、電解質の含水量の増加によるアノード表面上に形成される「パッシベーション層」の抵抗のいかなる増大も相殺することが理論付けられる。リチウム電池は、電池が保管された状態で放置され、又は通常の使用中に放電されるにつれ、通常「パッシベーション層」と称される被膜をリチウムアノードの表面に発生することが公知である。しかしながら、リチウムアノードの全ての「パッシベーション層」が同じではない。パッシベーション層の化学組成の性質、及びそのリチウムアノード表面での蓄積速度は、この層が電池の性能に対してどのように有害となるかの因子である。追加された含水量が全くない、例えば、電解質中に約50ppm未満の水が存在するリチウム電池は、電解質塩及び電解質溶媒とリチウムに関与する副反応により、電池が放電するにつれリチウムアノードにパッシベーション層をなお形成する。電解質中の含水量が100重量ppmを越え、又は200ppm若しくは500ppmを越え、例えば、特に約500〜1000重量ppmの電解質中の水であるように水を電解質に添加すると、電池性能に有意に悪影響を与えるアノード表面のパッシベーション層が形成されること、が予想される。]
[0024] しかしながら、デジタルカメラの電池性能を模倣するよう設計されたLi/FeS2電池Digicam(ANSIデジタルカメラ)試験から収集されたデータは、驚くべきことに、約50ppm〜1000ppmのレベルでの電解質中の総含水量において、電池の放電性能に任意の顕著な低下を示さなかった。Digicam試験を適用する前に電池が様々な加速保管条件に付された場合でも、電解質中の電池の含水量が50ppm〜1000ppmに増大されたときに、いずれの電池性能の悪化も顕著でなかった。表2−Digicam試験適用前の高温での電池保管試験II及び試験III、を参照されたい。]
[0025] このことは、水とリチウムアノードとの間に不都合な反応が顕著に生じて、通常のパッシベーション層、即ち、電解質中のより低いレベルの含水量、例えば、電解質中50重量ppm未満の水で形成されるアノードパッシベーション層よりも電池性能に対して遙かに有害なリチウムアノード表面のパッシベーション層を生じることなく達成される。いずれにしても、約1000ppmの水のレベルまでの電解質中の水の量の増大の結果としての、リチウムアノードでのパッシベーション層の蓄積の増大はいずれも、追加された含水量による電解質の導電率の増大により相殺されると思われる。これは、電解質中の含水量が、電解質中の約50〜1000重量ppm、約100〜1000重量ppm、約200〜1000重量ppm、並びに約500重量ppm〜1000重量ppm、例えば、約600〜1000重量ppmの水のレベルに増大しても、電池性能に対する顕著な悪影響が全く存在しない正味の効果をもたらす。]
[0026] 本発明は、アノードがリチウム金属を含むリチウム一次電池に関する。リチウムは、少量の他の金属、例えばアルミニウムと共に合金化されてよく、合金は、典型的に約1又は2重量%未満のリチウム合金を含む。アノード活性材料を形成するリチウムは、薄箔の形態が好ましい。電池は、通常「黄鉄鉱」として公知のカソード活性材料である二硫化鉄(FeS2)を含むカソードを有する。電池は、ボタン(コイン)電池又は平坦電池の形態であってよい。望ましくは、電池は、それらの間のセパレータと共に螺旋状に巻かれたアノードシートとカソード複合体シートと、を含む、螺旋状に巻かれた電池の形態であってよい。カソードシートは、二硫化鉄(FeS2)及び炭素粒子を含むカソード混合物を基材、好ましくは導電性金属基材、に被覆するスラリープロセスを用いて製造される。FeS2及び炭素粒子は、望ましくはエラストマー、好ましくはKraton G1651エラストマー(Kraton Polymers, Houston, Texas)等のスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコリマーを使用して、基材に結合される。このポリマーは、フィルム形成物であり、FeS2粒子、並びにカソード混合物中の導電性炭素粒子に対する良好な親和性及び粘着特性を有する。ポリマーは、電解質による化学的攻撃に抵抗する。]
[0027] カソードは、二硫化鉄(FeS2)粉末、導電性炭素粒子、バインダー材料、及び溶媒を含むカソードスラリーから形成される。(本明細書で使用される用語「スラリー」は、通常の辞書のその意味を有し、それ故、固体粒子を含む湿潤混合物を意味すると理解される。)湿潤カソードスラリーを、好ましくはアルミニウム又はステンレス鋼からなるシート等の、導電性の基材に被覆する。基材は、カソード集電体として機能する。次いで、溶媒を蒸発させて乾燥カソード被膜混合物から形成されるカソード複合体を残留させ、混合物は、二硫化鉄材料と、好ましくは互いに接着結合したカーボンブラックを含む炭素粒子と、を含み、更に複合体は好ましくは基材の両面に結合した乾燥被膜を含む。次いで、螺旋状に巻かれた、リチウム又はリチウム合金のシート、カソード複合体シート、及びこれらのシート間のセパレータを含む電極アセンブリを形成し、アセンブリを電池ケーシング内に挿入する。次いで、水を添加した電解質溶液を電池ケーシング内に注ぎ、電池を端部キャップ上で曲げて閉鎖する。]
[0028] 本明細書の発見により、Li/FeS2電池用の電解質中に許容される重量(ppm)による水の量は約1000ppmまでであることができ、電解質溶媒を完全に乾燥する必要性、又は電解質溶媒を別様に処理して溶媒から水を除去することが回避されるため、費用の節約、及び加工費用における節約に繋がる。]
[0029] 本明細書に報告する様々な試験プロトコルで測定されたLi/FeS2電池性能は、50ppmの水、100ppmの水、200ppmの水、500ppmの水、及び1000ppmの水を有する電池において、性能に顕著な悪化を全く有さないことは驚くべきことである。特に、Li/FeS2電池で試験した最高レベル、即ち、電解質中で約500〜1000ppmの含水量が、より低い含水量、例えば、電解質中に50ppmの水又は100ppmの水を有する同じの電池性能と比較して、電池性能に悪影響を与えるように思えないことは驚くべきことである。]
[0030] 試験電池に使用された電解質組成物、即ち1,3−ジオキソラン(70〜80容積%)及びスルホラン(20〜30容積%)を含む電解質溶媒に溶解したLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)塩は、電池の含水量がより高くても、即ち、電解質中の水が約50〜1000ppm、約100〜1000ppm、約200〜1000ppm、約500〜1000ppm、及び約600〜1000ppmであっても、Li/FeS2電池性能にて報告される良好な結果を達成する因子であり得ることが推測される。電池が電池の容量の3%を使用して、一連の約2Ampのパルス、即ち、約7秒の継続時間の「オン」及び20秒間の「オフ」であるそれぞれのパルスに付される電池の予備放電も、電解質中の水の存在にもかかわらず良好な性能を達成する因子であり得る。これは、そのような予備放電プロトコルが、電解質中に水が存在する場合でも、リチウムアノード上に安定なパッシベーション層を確立すること、を助けるためである。Li(CF3SO2)2N(LiTFSI)塩の代わりにヨウ化リチウム(LiI)も上記の電解質及び含水量と共に使用できると思われる。]
[0031] 表2及び表2AのLi/FeS2電池試験と、Li/FeS2電池に関する表3に示す電解質導電率測定値に基づき、上記の含水量を有する電解質、即ち約50〜1000ppm、約100〜1000ppm、約200〜1000ppm、約500〜1000ppmの水、及び約600〜1000ppmを、他のリチウム塩、特にヨウ化リチウムと共に、電解質中に使用できると思われる。更に、Li/FeS2電池に関する電解質中の含水量の上限は、電流データの傾向に基づき約2000ppmまで拡大できると思われる。]
図面の簡単な説明

[0032] 円筒形電池の実施形態で示される、本発明の改良されたLi/FeS2電池の等角図。
電池の頂部及び内部を示す、図1の透視線2−2によって切り取られた電池の部分断面立面図。
螺旋状に巻かれた電極アセンブリを示す、図1の透視線2−2によって切り取られた電池の部分断面立面図。
電極アセンブリを含む層の配置を示す概略図。
それぞれの層が部分的にはがされて、下にある層を示す図4の電極アセンブリの平面図。] 図1 図4
実施例

[0033] 本発明のLi/FeS2電池は、図1〜図5に示されるように、螺旋状に巻かれた電池の形態が望ましい。リチウムアノード40と、二硫化鉄(FeS2)を含むカソード複合体62と、を備え、それらの間にセパレータシート50を有する望ましい巻かれた電池10の形態が図示されている。アノードは、リチウム又はリチウム合金40のシートを含んでよい。カソード複合体は、図4及び5に最良に示されるように、基材65の少なくとも片面上に被覆された、二硫化鉄(FeS2)を含むカソード材料60の被膜を有してよい。カソード材料60はまた、基材65の両面上に被覆されてもよい。基材又は格子65は、アルミニウム、又はステンレス鋼箔等の導電性基材が好ましい。導電性基材65は、開口部を有さない連続固体シートであってよく、又はその内部に開口部を有するシートであってもよい。例えば、基材65は、エキスパンドステンレス鋼箔若しくはエキスパンドアルミニウム箔から形成されてよく、又はシートに小さい開口部を貫通して形成されてもよい。] 図1 図2 図3 図4 図5
[0034] アノード40は、リチウム金属の固体シートから調製されてよい。アノード40は、望ましくはリチウム金属(純度99.8%)の連続シートから形成される。代替的に、アノード40は、リチウムの合金及び合金金属、例えば、リチウムとアルミニウムの合金又はリチウムとカルシウムの合金であってよい。そのような場合、合金金属は、非常に少量、好ましくはリチウム合金の1又は2重量パーセント未満である。電池の放電により、合金中のリチウムは、それ故、純粋なリチウムとして電気化学的に機能する。それ故、本明細書及び特許請求の範囲に使用される用語「リチウム又はリチウム金属」は、その意味にそれらのリチウム合金を含むことが意図される。アノード40を形成するリチウムシートは、基材を必要としない。リチウムアノード40は、螺旋状に巻かれた電池用に、望ましくは約0.10〜0.20mm、好ましくは約0.15mmの厚さを有するリチウム金属の押出シートから有利に形成されることができる。]
[0035] 電池10のようなLi/FeS2電池は、以下の基本的な放電反応(一段階機構)を有する。
アノード:
4Li=4Li++4e− 式1
カソード:
FeS2+4Li++4e−=Fe+2Li2S 式2
全体:
FeS2+4Li=Fe+2Li2S 式3]
[0036] FeS2の理論比容量(mAmp−hr/g)は、分子当たり4つの電子移動に基づき、以下のように計算することができ、2つの電子はFe+2を元素鉄Feに還元し、2つの電子はS−1を2S−2に還元して、Fe+2Li2Sを形成する。FeS2の分子量(M.W.)は119.98であり、LiのM.W.は6.941である。電子の電荷qoは1.602×10−19クーロンである。1クーロン=1Amp−secである。アボガドロ数A0は、1モル当たり6.023×1023分子である。F=(qo×A0)/3600sec/hr=26.802Amp−hrとする。FeS2の理論比容量は、26.802×4/119.97=0.8935Amp−hr/g=893.5mAmp−hr/gとして計算することができる。Liの理論比容量は、26.802×1/6.941=3.8614Amp−hr/g=3861.4mAmp−hr/gとして計算することができる。本明細書の特定の実施形態において、リチウムは唯一のアノード活性材料であり、FeS2は唯一のカソード活性材料である。その場合、アノードの理論容量は、リチウムの理論比容量×リチウムの重量であり、リチウムは、リチウムが放電可能なように、セパレータをその間に有するカソードに面する。カソードの理論容量は、FeS2の理論比容量×カソード中のFeS2の重量であり、FeS2は、FeS2が放電可能なように、セパレータをその間に有するアノードに面する。]
[0037] 一般に、アノードの理論容量は、内部の全アノード活性材料の理想容量(mAmp−hrs)を算出することに関係し、カソードの理論容量は、内部の全カソード活性材料の理想容量(mAmp−hrs)を算出することによる。そのような用語の使用により、本願で使用されるアノードの理論容量とカソードの理論容量とが、そのように定義されることが理解されよう。「アノード活性」材料及び「カソード活性」材料は、それぞれ、有用な電気化学的放電が可能な、アノード及びカソードの材料と定義する。即ち、「アノード活性材料」及び「カソード活性材料」は、電池の負極と正極との間の外部回路が接続され、電池が通常通り使用される際に、これらの電極間の電流の流れを促進する。]
[0038] Li/FeS2円筒形電池10は、一次(非充電式)電池の形態であってよい。]
[0039] 活性カソード材料として二硫化鉄(FeS2)、又は二硫化鉄(FeS2)を含む任意の混合物を有する本発明のカソード材料60は、かくして導電性基材65の片面又は両面上に被覆されて、カソード複合体シート62を形成してよい。カソード活性材料、即ち、カソード60で有用な電気化学的反応を受ける材料は、全体が二硫化鉄(FeS2)から構成されてよく、又は他の1種の共活性材料を含んでもよい。その内部に分散された二硫化鉄(FeS2)粉末を含むカソード60は、湿潤スラリーの形態で調製することができ、スラリーは、スラリー中で混合された二硫化鉄粉末、炭素粒子、ポリマーバインダー及び溶媒の混合物を含む。この湿潤スラリーを導電性金属箔65、好ましくは上記に示したアルミニウム又はステンレス鋼箔の片面に被覆する。次いで、基材65上の湿潤被膜60を従来の対流空気オーブン内で乾燥して、溶媒を蒸発させてよい。次いで、湿潤スラリーの被膜を場合により導電性基材65の反対側(図示せず)に適用してもよい。そのような場合、導電性基材65の反対側上の湿潤被膜は、対流空気オーブン内で同様に乾燥されて、溶媒が蒸発される。カソード複合体シート62は、導電性基材65の片面又は両面上の乾燥カソード被膜60と共に形成される。次いで、カソード複合体シート62をカレンダにかけ、導電性基材65上に緻密で滑らかな乾燥カソードを形成してよい。]
[0040] カソードスラリーは、望ましくは2〜4重量%のバインダー(Kraton Polymers,Houston Texas製のKraton G1651エラストマーバインダー)、50〜70重量%の活性FeS2粉末、4〜7重量%の導電性炭素(カーボンブラック及びグラファイト)、並びに25〜40重量%の溶媒(1種又は複数種)を含む。(カーボンブラックは、好ましくはアセチレンカーボンブラックである。しかしながら、カーボンブラックは、その全部又は一部が、天然ガス又は石油の不完全燃焼又は熱分解から形成されるカーボンブラック等の他のカーボンブラックを含んでよい。それ故、本明細書で使用される用語カーボンブラックは、アセチレンブラック及びそのような他のカーボンブラックに拡大され、またこれらを含むと理解されよう。)Kraton G1651バインダーは、フィルム形成物であるポリマーエラストマーブロックコポリマー(スチレン−エチレン/ブチレン(SEBS)ブロックコポリマー)である。Kratonポリマーバインダーは、湿潤カソードスラリーの形成に使用される溶媒に可溶である。Kratonバインダーは、卓越したフィルム形成特性を有し、二硫化鉄粒子及び導電性炭素粒子の全体にわたって容易に分散して、これらの粒子が互いの接触を保つこと、を助ける。即ち、バインダーは、活性FeS2及びカーボンブラック粒子に対する十分な親和性を有して、湿潤カソードスラリーの調製を容易にし、かつ溶媒が蒸発した後のこれらの粒子の互いの接触を保つ。Kratonバインダーはまた、アノード40、カソード62及びそれらの間のセパレータ50が巻かれ、電池ケーシング内に挿入された後に、電池に添加される電解質中で安定である。Kratonバインダーは、電池保管又は放電中、更には約−10℃〜70℃の幅広い環境条件にわたって、電解質又は他の電池内容物と反応しないように化学的かつ電気化学的に耐性である。]
[0041] FeS2粉末は、約1〜100マイクロメートル、望ましくは約10〜50マイクロメートルの平均粒径を有し、BET表面積は、典型的には約0.8〜1.5m2/gであってよい。望ましいFeS2粉末は、商標名Pyrox Red 325粉末でChemetall GmbHから入手可能であり、FeS2粉末は、その粒子がTylerメッシュサイズ325(ふるい開口0.045mm)のふるいを通過するのに十分小さい粒径を有する。(325メッシュふるいを通過しないFeS2粒子の残量は、最大10%である。)Pyrox Red 325 FeS2は、約20〜26マイクロメートルの平均粒径、約1.1m2/gの典型的なBET表面積、及び4.7gm/cm3の密度を有した。グラファイトは、商標名TIMREX KS6グラファイトでTimcal Americaから入手可能である。TIMREXグラファイトは、極めて高い結晶性を有する合成グラファイトであり、BET表面積は20m2/g、密度は2.25g/cm3である。(天然、合成、又はエキスパンドグラファイト及びそれらの混合物から選択される他のグラファイトを使用してもよいが、Timcal製のTIMREXグラファイトは、その高い純度から好ましい。)カーボンブラックは、好ましくは商標名Super P導電性カーボンブラック(BET表面積62m2/g、袋内の嵩密度0.160g/cm3、)でTimcal Co.から入手可能なアセチレンブラックである。Super Pアセチレンブラックは、ASTMD1512−95で測定して、約10のpHを有する。他の好適なカーボンブラックは、Timcal Co.から商標名ENSACO Granular、ENSACO P、SUPERS、SUPER S−Li及びSUPER P−Liとして入手可能である。これらの後者のカーボンブラックは、ASTM−D1512又は等価な国際標準Ref.No.ISO 787/9−1981(E)で測定して、約6〜11のpHを有する。]
[0042] 溶媒をFeS2粉末、炭素粒子、及びポリマーバインダー中に混合して、上記に示したように基材65上に被覆するための湿潤カソードスラリーを形成する。好ましい混合の連続において、まず溶媒をバインダーと混合して、バインダー/溶媒混合物を形成する。FeS2及び炭素粒子を別々に予備混合した後、バインダー/溶媒混合物に加えてよい。溶媒としては、好ましくはShellSol A100炭化水素溶媒(Shell Chemical Co.)として入手可能なC9〜C11(主にC9)芳香族炭化水素の混合物、及び主に、Shell Sol OMS炭化水素溶媒(Shell Chemical Co.)として入手可能なイソパラフィン(平均M.W.166、芳香族含有量0.25重量%未満)の混合物が挙げられる。ShellSol A100のShellSol OMS溶媒に対する重量比は、望ましくは4:6重量比である。ShellSol A100溶媒は、殆ど芳香族炭化水素(90重量%を越える芳香族炭化水素)、主にC9〜C11芳香族炭化水素を含む炭化水素混合物である。ShellSol OMS溶媒は、イソパラフィン炭化水素(98重量%イソパラフィン、M.W.約166)と、0.25重量%未満の含有量の芳香族炭化水素との混合物である。スラリー配合物は、二重遊星形ミキサーを使用して分散することができる。まず乾燥粉末(FeS2粉末及び炭素粒子)をブレンドして均一性を確実にした後、混合ボウル内のKraton G1651バインダー溶液に加える。次いで、溶媒を加え、成分をミキサー内でブレンドし、更に均質なスラリー混合物が得られるまでブレンドする。]
[0043] 非限定的な例としての好ましいカソード湿潤スラリー混合物を、表1に示す。]
[0044] この同じ又は同様の湿潤カソードスラリー混合物(電解質は未だ電池に添加されていない)は、2006年9月6日出願の本発明の譲受人に譲渡された出願第11/516,534号に開示されている。上記の表1に示すように、湿潤カソードスラリー混合物の総固体含有量は、66.4重量%である。それ故、乾燥カソード中のアセチレンブラック含有量は2.26重量%であり、乾燥カソード中のグラファイト含有量は6.02重量%であろう。]
[0045] 円筒形の電池10は、図2〜5に示すように、アノードシート40、カソード複合体62、及びアノードシート40とカソード複合体62との間のセパレータシート50を含む、螺旋状に巻かれた電極アセンブリ70(図3)を有してよい。Li/FeS2電池10の内部形態は、カソード組成物が異なること以外は、米国特許第6,443,999号に示され及び記載されている螺旋状に巻かれた形態と同様であり得る。図に示すように、アノードシート40はリチウム金属を含み、カソードシート60は、通常「黄鉄鉱」として公知の二硫化鉄(FeS2)を含む。電池は、好ましくは図に示すように円筒形であり、任意のサイズ、例えば、AAAA(42×8mm)、AAA(44×9mm)、AA(49×12mm)、C(49×25mm)及びD(58×32mm)サイズであってよい。それ故、図1に示す電池10はまた、2/3A電池(35×15mm)又は他の円筒形サイズであってもよい。しかしながら、これは電池の形態を円筒形に限定することを意図するものではない。代替的に、本発明の電池は、リチウム金属を含むアノードと、本明細書に記載したように作製した二硫化鉄(FeS2)を含むカソードとから形成された、螺旋状に巻かれた電極アセンブリであって、角柱のケーシング、例えば、立方形の全体形状を有する矩形電池内に挿入された電極アセンブリを有してよい。Li/FeS2電池は、螺旋状に巻かれた形態に限定されず、アノード及びカソードは、例えば、コイン電池での使用のために積み重ね構成にて配置されてよい。] 図1 図2 図3 図4 図5
[0046] 螺旋状に巻かれた電池に関して、電池ケーシング(ハウジング)20の好ましい形状は、図1に示すような円筒形である。ケーシング20は、好ましくはニッケルめっきした鋼から形成されている。電池ケーシング20(図1)は、連続した円筒形表面を有するそれらの間にセパレータ50を有するアノード40及びカソード複合体62を含む螺旋状に巻かれた電極アセンブリ70(図3)は、平坦電極複合体13を螺旋状に巻くことにより調製されてよい(図4及び5)。カソード複合体62は、金属基材65上に被覆された二硫化鉄(FeS2)を含むカソード60の層を有する(図4)。] 図1 図3 図4
[0047] 電極複合体13(図4及び5)は、以下のように作製されてよい。本発明の方法によれば、その内部に分散された二硫化鉄(FeS2)粉末を含むカソード60は、湿潤スラリーの形態で初めに調製されてよく、スラリーを、貫通した開口部を有するか又は有さない固体シートであってよい導電性基材シート65、好ましくはアルミニウム又はステンレス鋼のシートの片面上に被覆して、カソード複合体シート62を形成する(図4)。従来のロールコーティング技術を使用して、導電性基材65の片面上に湿潤スラリーを被覆してよい(図4及び5)。アルミニウムシート65が使用される場合、シートは、貫通した開口を有さないアルミニウムの固体シートであってよく、又は貫通した開口を有して格子又は網目状物を形成するエキスパンド又は穿孔アルミニウム箔のシートであってもよい。基材シート65の開口部は、シートを通して打ち抜き又は貫通した結果であってよい。] 図4
[0048] 二硫化鉄(FeS2)、バインダー、導電性炭素及び溶媒を含む、上記の表1に示す組成を有する湿潤カソードスラリー混合物は、表1に示す成分を、均質な混合物が得られるまで、混合することにより調製される。]
[0049] 上記の成分の量(表1)は、勿論、カソードスラリーの小さいバッチ又は大きいバッチを調製し得るよう比例的に定めることができる。それ故、湿潤カソードスラリーは、好ましくは以下の組成:FeS2粉末(58.9重量%)、バインダー、Kraton G1651(2重量%)、グラファイト、Timrex KS6(4.0重量%)、アセチレンブラック、Super P(1.5重量%)、炭化水素溶媒、ShellSol A100(13.4重量%)及びShellSol OMS(20.2重量%)、を有する。]
[0050] FeS2粉末(Pyrox Red 325)は、供給元、Chemetall GmbHから得たままで直接使用してよい。そのような製品は供給元から得ることができ、FeS2粉末にCaCO3添加物が既に混合されている。CaCO3は、一般にFeS2粉末の1.5重量%まで含まれてよい。CaCO3(又はCaCO3を含有する化合物)は、FeS2のpHを上昇させて、その保管寿命を延長するよう供給元により添加される。即ち、CaCO3の添加によるFeS2のpHの上昇は、FeS2が周囲空気に暴露され又は周囲空気中で保管されたときの、FeS2粒子の表面内又は表面上の酸性汚染物質の蓄積速度を遅延させること、を意図する。]
[0051] 湿潤カソードスラリーの調製を所望する場合、FeS2粉末とアセチレンカーボンブラックとのプレミックスを保管場所から取り出し、バインダー及び溶媒溶液と混合するよう準備する。混合物を、上述したように、均質な混合物が得られるまで、グラファイト、バインダー及び溶媒と共に撹拌して湿潤カソードスラリーを形成する。]
[0052] 湿潤カソードスラリーを形成した後(表1)、湿潤スラリーを導電性基材65の片面上に被覆する。次いで、その上に湿潤カソードスラリーが被覆された導電性基材65を従来の対流式オーブン(又は不活性ガス中)で乾燥させて、スラリー中の溶媒を蒸発させ、それにより導電性基材65の片面上に乾燥カソード被膜60を形成する(図4及び5)。所望であれば、プロセスを反復して、湿潤カソードスラリー(表1)を用いて導電性基材65の反対側を被覆してもよい。次いで、導電性基材65の反対側上の湿潤カソードスラリーを対流式オーブンでの乾燥に付して、溶媒を蒸発させ、それにより導電性基材65の反対側上にも乾燥カソード被膜60を形成してよい。金属基材65上に被覆された湿潤カソードスラリーの乾燥は、好ましくはオーブンの温度を初期温度40℃から130℃を越えない最終温度へ約7〜8分間、又は溶媒が実質的に全て蒸発するまで、徐々に調整し又は一定の割合で上昇させる(被膜の亀裂を避けるため)ことにより達成される。(少なくとも約95重量パーセントの溶媒が蒸発し、好ましくは少なくとも約99.9重量パーセントの溶媒が蒸発する。)次いで、乾燥カソード被膜60(導電性基材65の片面のみ又は両面のいずれに適用されても)をカレンダ加工に付して、その乾燥カソード60の厚さを圧縮し、それにより完成したカソード複合体62を形成する(図4及び5)。] 図4
[0053] アノード40は、リチウム金属の固体シートから調製されてよい。アノード40は、望ましくはリチウム金属(純度99.8%)の連続シートから形成される。アノード40のリチウム金属は、少量の他の金属、例えばアルミニウム又はカルシウムと合金化されてよく、典型的には約1又は2重量%未満、更には約5重量%までのリチウム合金を含む。アノード活性材料を形成するリチウムは、薄箔の形態が好ましい。それ故、電池の放電により、合金中のリチウムは、純粋なリチウムとして電気化学的に機能する。それ故、本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語「リチウム又はリチウム金属」は、その意味に、そのようなリチウム合金を含むことが意図される。アノード40を形成するリチウムシートは、基材を必要としない。リチウムアノード40は、螺旋状に巻かれた電池に関して、約0.09〜0.20mm、望ましくは約0.09〜0.19mmの厚さを有するリチウム金属の押出シートから有利に形成されることができる。]
[0054] 約0.025mm以下の厚さを有する、好ましくは微小多孔性ポリプロピレン又はポリエチレンの電解質透過性セパレータ材料50の個々のシートは、リチウムアノードシート40の両面に挿入される(図4及び5)。好ましい実施形態において、セパレータシートは、厚さ約0.016mmの微小孔性ポリエチレン又はポリプロピレンであってよい。微小孔性ポリプロピレンは、望ましくは約0.001〜5マイクロメートルの孔サイズを有する。第一の(頂部)セパレータシート50(図4)は、外側セパレータシートと指定されてもよく、第二のシート50(図4)は、内側セパレータシートと指定されてよい。次いで、導電性基材65のカソード被膜60を含むカソード複合体シート62を内側セパレータシート50に接して配置して、図4に示す平坦電極複合体13を形成する。平坦複合体13(図4)を螺旋状に巻いて、電極螺旋アセンブリ70(図3)を形成する。巻くことは、マンドレルを使用して、電極複合体13の延長されたセパレータ縁50b(図4)を握った後、複合体13を時計回りに螺旋状に巻いて、巻かれた電極アセンブリ70(図3)を形成して達成することができる。] 図3 図4
[0055] 券くことが完了した際、セパレータ部分50bは、図2及び3に示すように、巻かれた電極アセンブリ70のコア98内に現れる。非限定的な例として、セパレータのそれぞれの回転の底部縁50aを熱形成して、図3に示し、かつ米国特許第6,443,999号に教示されているように、連続的な膜55としてよい。図3から明かであり得るように、電極螺旋70は、アノードシート40とカソード複合体62との間にセパレータ材料50を有する。螺旋状に巻かれた電極アセンブリ70は、ケーシング本体の形状に適合する形態(図3)を有する。螺旋状に巻かれた電極アセンブリ70は、ケーシング20の開放端部30内に挿入される。巻かれたとき、電極螺旋70の外側層は、図2及び3に示すセパレータ材料50を含む。電極複合体13を巻く前に、追加の絶縁層72、例えば、ポリプロピレンテープ等のプラスチックフィルムを望ましくはセパレータ層50を覆って配置してよい。そのような場合、螺旋状に巻かれた電極70は、巻かれた電極複合体がケーシング内に挿入された際、ケーシング20の内側表面と接触した絶縁層72を有するであろう(図2及び3)。代替的に、巻かれた電極螺旋70をケーシング内に挿入する前に、ケーシング20の内側表面を電気的絶縁材料72で被覆してよい。] 図2 図3
[0056] 次いで、巻かれた電極螺旋70を電池ケーシング20内に挿入した後、巻かれた電極螺旋70に電解質混合物を添加してよい。所望の電解質は、有機溶媒に溶解されたリチウム塩LiCF3SO3(LiTFS)又はLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)を含む。所望の電解質は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/494,244号と同様、1,3ジオキソラン(80容積%)とスルホラン(20容積%)との溶媒混合物に溶解されたLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)塩の混合物を含む。約0.05〜1.0重量%、例えば約0.1重量%の量のピリジンを電解質に添加して、1,3−ジオキソランの重合の機会を低減する。電解質は、最初、電解質百万重量部当たり50重量部(ppm)未満の水を含む。水を電解質に添加して、電解質(電解質塩+溶媒)中の総含水量を、約50〜1000重量ppm、約100〜1000重量ppm、約200〜1000重量ppm又は望ましくは約500〜1000重量ppm、例えば、約600〜1000重量ppmの電解質中の水とすることが有用であると見いだされている。]
[0057] 電池の正極17を形成する端部キャップ18は、金属タブ25(カソードタブ)を有してよく、タブの面のうちの一方は端部キャップ18の内側表面に溶接されていてよい。金属タブ25は、好ましくはアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。カソード基材65の一部分は、図2に示すように、巻かれた螺旋の頂部から延びる部分64内に延びる。カソード基材部分64が金属タブ25の露出側に溶接された後、ケーシング周囲端部22を端部キャップ18の周囲にて曲げ、その間の絶縁円盤80の周囲端部85が電池の開放端部30を閉鎖する。端部キャップ18は、望ましくは通気口19を有し、同通気口19は、破裂するよう構成され、かつ電池内のガス圧が所定のレベルを越えた場合に気体を逃す破裂可能な膜を含んでよい。正極17は、望ましくは端部キャップ18の一体化部分である。代替的に、電極17は、米国特許第5,879,832号に記載されている種類の端部キャップアセンブリの頂部として形成されてよく、このアセンブリは、端部キャップ18の表面の開口内に挿入された後、そこに溶接されてよい。] 図2
[0058] 金属タブ44(アノードタブ)、好ましくはニッケル、又はニッケルめっきした鋼は、リチウム金属アノード40の一部分内に押し付けられてよい。アノードタブ44は、螺旋内の任意の地点にてリチウム金属内に押し付けられてよく、例えば、アノードタブ44は、図5に示すように、螺旋の最も外側の層にてリチウム金属内に押し付けられてよい。アノードタブ44は片面がエンボス加工されて、タブの片面に、リチウム内へ押し付けられる複数の隆起部分を形成してよい。タブ44の反対側は、図3に示すように、ケーシングの内側において、ケーシング側壁24の内側表面、又はより好ましくはケーシング20の閉鎖端部35の内側表面のいずれかに溶接されてよい。アノードタブ44をケーシング閉鎖端部35の内側表面に溶接することが好ましく、これは溶接が、電気スポット溶接プローブ(細長い抵抗溶接電極)を電池コア98内に挿入することにより、容易に達成されるためである。電池コア98の外側境界の一部に沿って存在するセパレータスタータタブ50bと、溶接プローブとの接触を避けるよう注意する必要がある。] 図3 図5
[0059] 一次リチウム電池10はまた、場合により、端部キャップ18の下部に位置し、カソード60と端部キャップ18との間に直列に接続されているPTC(正の熱係数)デバイス95も備え得る(図2)。そのようなデバイスは、所定のレベルよりも高い電流放電における放電から電池を保護する。それ故、電池が、AAサイズ電池内で、異常に高い電流、例えば、約6〜8Ampにて長期間放電された場合、PTCデバイスの抵抗が劇的に増大して、異常に高い放電を停止する。通気口19及びPTCデバイス95以外のデバイスを使用して、不適切な使用又は放電から電池を保護してよいことを理解するであろう。] 図2
[0060] 試験プロトコル
AAサイズのLi/FeS2試験電池(49×12mm)を、上述したように新しく作製した。カソード被膜60は、表1に示す組成を有していた。カソード60の両面を、貫通開口を全く有さない、厚さ0.025mm(1mil)のアルミニウム箔基材65のシートで被覆した。セパレータは、厚さ0.025mm(1mil)の微小多孔性ポリプロピレン(Celgard 2400)であった。アノード40は、リチウム金属のシートを含んでいた。カソードは、カソード活性材料として5.0gの二硫化鉄(FeS2)を含んでいた。電池は、それらの間にセパレータを有するアノードとカソードとの間に約300cm2の界面表面積を有していた。アノードの理論容量がカソードの理論容量よりも大きくなるように電池を釣り合わせた。具体的には、試験電池をアノードの理論容量のカソードの理論容量に対する比が約0.9となるよう釣り合わせた。(アノードの理論容量は、リチウム金属の理論比容量、3861.4mAmp−hr/グラム×リチウムのグラムによる重量であり、カソードの理論容量は、FeS2の理論比容量、893.5mAmp−hr/グラム×FeS2のグラムによる重量である。)
螺旋状に巻かれたアノード40、カソード60、及びアノード40とカソード60との間のセパレータ50を含む乾燥電極アセンブリ70を、上記に記載した電池の形成と同様、円筒形のケーシング20内に挿入した。次いで、電解質を電池に添加した。電池に添加した電解質は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/494,244号と同様、1,3ジオキソラン(80容積%)とスルホラン(20容積%)との溶媒混合物に溶解したLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)塩(0.8mols/リットル)の混合物を含んでいた。また、0.1重量%ピリジンを添加して、最終的な電解質溶液を形成した。(望ましくは約0.05〜1.0重量%のピリジンが電解質に添加されて、1,3−ジオキソランの微量の重合の機会を低減する。)電解質混合物は、螺旋状に巻かれた電池(図2)に関して、FeS2 1グラム当たり約0.4グラムの電解質溶液に基づき添加された。電池は、多様な量の水が電解質中に存在した以外は、それぞれの点にて同じであり、同じアノード、カソード、セパレータ及び電解質組成物を含んでいた。本明細書に報告する含水量(表2)は、電解質中の全部の水の量、電解質百万重量部当たりの水の部(ppm)であり、電解質は、電解質塩及び電解質中でブレンドされた全ての電解質溶媒とを含む。(電解質溶媒は、50ppm未満の水を含んだ状態で、当初、供給元から受け取る。)
電解質中の異なる量の水を含むAAサイズの電池を、それらのそれぞれの試験バッチA、B、C、D、及びEに分割した。電池のそれぞれのバッチは、電解質中に以下の量の水(ppm)を含んでいた。バッチAは、電解質中に50ppm未満の水を含む対照バッチである。バッチBは、電解質中に100ppmの水を含んでいた。バッチCは、電解質中に200ppmの水を含んでいた。バッチCは、電解質中に500ppmの水を含んでいた。バッチEの電池は、電解質中に1000ppmの水を含んでいた。] 図2
[0061] バッチB、C、D、及びEの電解質は、十分に脱イオン化した水をバッチAの電解質に添加して電解質中の含水量を上記に詳細した量に上昇させて形成され、即ち、バッチBは水100ppm、バッチCは水200ppm、バッチDは水500ppm、及びバッチEは水1000ppmとした。添加された水は、精製水、即ち脱イオン水であった。]
[0062] 電解質中に異なる含水量を有する電池A、B、C、D、及びEのそれぞれのバッチにおいて、多数の同じ電池が作製された。バッチA、B、C、D、及びEのそれぞれからの同一の電池を、4つのグループI、II、III、及びIVに分割した。それぞれのバッチに関して、グループI、II、III、及びIV当たり5〜10個の同一の電池が存在した。それぞれのバッチA、B、C、D、及びEに含まれるI、II、III、及びIVからなる電池のこれら4つのそれぞれのグループを、異なる試験プロトコルに付した。]
[0063] 試験プロトコルを一部設計して、保管後の電池インピーダンス及びOCV(開回路電圧)に対する電解質中の含水量の効果を試験した。それらの測定は、より多量の水を電解質に添加した結果としての、リチウムアノード表面での有害なパッシベーション層の蓄積の速度の指標を提供するよう設計された。それらの試験を作製するために、それぞれのバッチA、B、C、D、及びEの全部の新しい電池を最初に僅かに予備放電して、電池の容量の約3パーセントを放電した。次いで、全部の電池を直ちに周囲の室温(20℃)にて14日間保管した。次いで、14日間の保管期間後、電池のインピーダンス及びOCVを、全部の電池に関して測定した。この時点で、それぞれのバッチA、B、C、D、及びEの電池を(それぞれのバッチは異なる含水量を有する)、グループ当たり5〜10個の電池を含む4つのグループI、II、III、及びIVに分割した。]
[0064] 以下の試験プロトコルを、それぞれのバッチA、B、C、D、及びEの同じの電池I、II、III、及びIVの4グループに適用した。(上記に示したように、バッチAは電解質中に50ppm未満の水を含み、バッチBは電解質中に100ppm未満の水を含み、バッチCは電解質中に200ppm未満の水を含み、バッチDは電解質中に500ppm未満の水を含み、バッチEは電解質中に1000ppm未満の水を含んでいた)。]
[0065] グループI試験において、新しい電池を予備放電し(予備放電プロトコルは一連のサイクルであり、それぞれのサイクルは約2Ampパルスの「オン」を7秒間、続いて20秒間の「オフ」からなり、約3%の電池容量を除去した)、周囲の室温(20℃)で14日間保管した後、電池インピーダンスとOCVを測定した。次いで、電池を、デジタルカメラ内での使用をシミュレートするよう設計されたDigicam試験(以下に記載)に付した。Digicam試験の結果を記録し、このグループからの電池を廃棄した。(試験結果を表2に報告した。)
グループII試験において、新しい電池を予備放電し(予備放電プロトコルは一連のサイクルであり、それぞれのサイクルは約2Ampパルスの「オン」を7秒間、続いて20秒間の「オフ」からなり、約3%の電池容量を除去した)、周囲の室温(20℃)で14日間保管した後、電池インピーダンスとOCVを測定した。次いで、電池を約60℃の高温で20日間の更なる(加速した)保管に付した。この加速保管期間の終わりに、これらの電池を再度インピーダンス及びOCV試験、続いてDIGICAM試験に付した。(試験結果を表2に報告する)
グループIII試験において、新しい電池を予備放電し(予備放電プロトコルは一連のサイクルであり、それぞれのサイクルは約2Ampパルスの「オン」を7秒間、続いて20秒間の「オフ」からなり、約3%の電池容量を除去した)、周囲の室温(20℃)で14日間保管した後、電池インピーダンスとOCVを測定した。次いで、電池を0.25Ampの一定電流での8時間の放電に付して、電池の容量の約65パーセントを放電した。次いで、電池のインピーダンス及びOCVを測定をこの時点で再度測定した。次いで、電池を約60℃の高温での20日間の加速保管に付した。電池のインピーダンス及びOCVを測定した後、電池をDigicam試験に付した。(試験結果を表2に報告する)
グループIV試験において、新しい電池を予備放電し(予備放電プロトコルは一連のサイクルであり、それぞれのサイクルは約2Ampパルスの「オン」を7秒間、続いて20秒間の「オフ」からなり、約3%の電池容量を除去した)、周囲の室温(20℃)で14日間保管した後、電池インピーダンスとOCVを測定した。インピーダンス測定後、電池を一定電流の3Ampパルスに0.5秒間(電気試験)付して、電解質への水への添加による、リチウムアノードでのパッシブ層の蓄積を評価した。この評価は、電池OCV(開回路電圧)と電池CCV(閉回路電圧、即ち、負荷電圧)との間の差異に基づき、3Amp負荷の一定電流「I」のもとで行った。OCVとCCVにおける差異は、電池の内部抵抗を反映する。即ち、OCV−CCV=Vint(Vint=IRintであり、Rintは、電池の内部抵抗である)リチウムアノードでのパッシベーション層の蓄積は、電池の内部抵抗、Rintを増大させるであろう。したがって、逆に言えば、電池の内部抵抗、Rintは、アノードでのパッシベーション層の蓄積の反映である。上記に示したように、電池の内部抵抗は、所定の電流放電におけるOCV−CCVの差異により直接変化する。]
[0066] リチウムパッシベーション層の抵抗が電解質に添加された水の量の差異により変化し得るため、層は電気試験で差異OCV−CCVを測定することにより評価することができる。20℃で14日間保管した後、インピーダンス及び電気試験を行った電池を、次にDIGICAM試験を用いて100回のパルス状サイクルに付し、その後60℃で1週間保管した。(それぞれのサイクルは、1.5ワットパルスを2秒間、その直後0.65ワットパルスを28秒間からなる。)そのような100回のパルス状サイクル後、電池を60℃で1週間の保管に付した。4時間で室温(20℃)に冷却した後、電池を再度電気試験(一定電流の3Ampパルスを0.5秒間)に付し、その後100回のパルス状サイクルが追従した(それぞれのサイクルは、1.5ワットパルスを2秒間と、その直後の0.65ワットパルスを28秒間とからなる)。これらの100回のパルス状サイクル後、電池を60℃保管にて1週間の保管に付した。再度、4時間で室温(20℃)に冷却した後、電池を再度電気試験に付した(一定電流の3Ampパルスを0.5秒間、OCV−CCV値をボルトにて記録した)。サイクルのこの時点でOCV−CCV値を、電池が完全に放電されるまで、それぞれの電池バッチに関して週数に対して記録した。上述した1週間の保管期間の後、電気試験をそれぞれ100回のパルス状サイクルの終わりに適用したときにOCVとCCV(ボルト)との間の差異を記録し、それぞれの電池バッチA、B、C、D、及びEに関して、週数に対して表2Aに表した。



注:
1.AAサイズのLi/FeS2円筒形電池、電解質中の含水量を除いて全て同じ。当初の含水量は電解質中50ppm未満の水であり、電解質に十分な水を添加して上記に示した含水量を得た。電解質は、0.1重量%ピリジンを含む1,3ジオキソラン(80容積%)とスルホラン(20容積%)との溶媒混合物に溶解したLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)塩(0.8mols/リットル)であった。
2.グループI試験−新しい電池を予備放電し、周囲の室温(20℃)にて14日間保管した後、電池のインピーダンス及びOCVを測定した。次いで、電池を、デジタルカメラ内での使用をシミュレートするよう設計されたDigicam試験(以下に記載)に付した。パルス状サイクルの合計数を報告した。それぞれのパルス状サイクルは、1.5ワットパルスを2秒間、その後0.65ワットパルスを28秒間からなる。
3.グループII試験−新しい電池を予備放電し、周囲の室温(20℃)にて14日間保管した後、電池のインピーダンス及びOCVを測定した。次いで、電池を約60℃の高温で20日間の更なる(加速した)保管に付した。この加速保管期間の終わりに、これらの電池を再度インピーダンス及びOCV試験、続いてDIGICAM試験に付した。パルス状サイクルの合計数を報告した。それぞれのパルス状サイクルは、1.5ワットパルスを2秒間、その後0.65ワットパルスを28秒間からなる。
4.グループIII試験−新しい電池を予備放電し、周囲の室温(20℃)にて14日間保管した後、電池のインピーダンス及びOCVを測定した。次いで、電池を0.25Ampの一定電流での8時間の放電に付して、電池の容量の約65パーセントを放電した。次いで、電池のインピーダンス及びOCVをこの時点で再度測定した。次いで、電池を約60℃の高温で20日間の加速保管に付した。電池のインピーダンス及びOCVを測定した後、電池をDigicam試験に付した。パルス状サイクルの合計数を報告した。それぞれのパルス状サイクルは、1.5ワットパルスを2秒間、その後0.65ワットパルスを28秒間からなる。]
[0067] 注:
1.AAサイズのLi/FeS2円筒形電池、電解質中の含水量を除いて全て同じ。当初の含水量は電解質中50ppm未満の水であり、電解質に十分な水を添加して上記に示した含水量を得た。電解質は、0.1重量%ピリジンを含む1,3ジオキソラン(80容積%)とスルホラン(20容積%)との溶媒混合物に溶解したLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)塩(0.8mols/リットル)であった。
2.グループIV試験−新しい電池を予備放電し、周囲の室温(20℃)にて14日間保管した後、電池のインピーダンス及びOCVを測定した。インピーダンス測定後、電池を一定電流の3Ampパルスに0.5秒間(電気試験と称する)付して、電解質への水への添加による、リチウムアノードでのパッシブ層の蓄積を評価した。この評価は、電池OCV(開回路電圧)と電池CCV(閉回路電圧)との間の差異に基づき、3Amp負荷の下で行った。20℃で14日間保管した電池に、その後インピーダンス及び電気試験を行い、次いでDIGICAM試験を用いて100回のパルス状サイクルに付し、その後60℃で1週間保管した。(それぞれのサイクルは、1.5ワットパルスを2秒間、その直後0.65ワットパルスを28秒間からなる。)4時間で室温(20℃)に冷却した後、電池を再度電気試験(一定電流の3Ampパルスを0.5秒間)に付し、その後100回のパルス状サイクルが追従した(それぞれのサイクルは、1.5ワットパルスを2秒間と、その直後の0.65ワットパルスを28秒間とからなる)。これらの100回のパルス状サイクル後、電池を60℃保管にて1週間の保管に付し、その後電池を4時間で室温(20℃)に冷却した。電池を再度電気試験に付した(一定電流の3Ampパルス0.5秒間、OCV−CCV値を記録した)。サイクルのこの時点(100回のパルス状サイクルと、上述した1週間の保管後)で、OCV−CCV値(ボルト)を、電池が完全に放電するまで、それぞれの電池バッチを週数に対して記録した。]
[0068] Digicam試験
デジタルカメラ試験(Digicam試験)は、以下のパルス試験プロトコルからなり、このプロトコルではそれぞれの試験電池を、電池にパルス状放電サイクルを適用することにより放電した。それぞれのサイクルは、1.5ワットパルスを2秒間と、その直後の0.65ワットパルスを28秒間との両方からなる。これを10回反復した後、55分間休止する。次いで、サイクリングをカットオフ電圧に到達するまで反復する。サイクルは、カットオフ電圧1.05Vに到達するまで継続する。これらのカットオフ電圧への到達に必要なサイクル数を記録した。(報告したパルス数は、高い1.5ワットパルスであり、これはパルス状サイクルの数に対応する。)
マイクロ熱量計試験
電池A、B、C、D、及びEのそれぞれのバッチからの代表的な電池(それぞれのバッチは、上述したように、電解質中の異なる含水量を有する同じのAA電池である)をマイクロ熱量計測定に付した。この熱量計試験は、それぞれのバッチからの新しい電池を予備放電して電池の容量の約3パーセントを放電し、その後周囲の温度20℃で14日間保管した後に行った。マイクロ熱量計試験の目的は、電解質中に添加した水の量(ppm)に応じて電池の熱放散に多くの差異が存在するか否かを測定することである。Calorimetry Sciences Corporation製のCSC 4400等温熱量計を使用して、電池からの熱放散を測定した。マイクロ熱量計は、電池が周囲の温度20℃に到達するまで、電池の熱放散をワット−時間で測定する。電解質に添加された水量にかかわらず、試験した全電池グループの熱出力における識別可能な差異は観察されなかった。]
[0069] 電解質導電性試験
様々なサンプルに異なる量の水を添加した以外は、AA試験電池に使用した同じの電解質のサンプルを作製した。電解質は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/494,244号に記載されているような、ジオキソラン(80容積%)及びスルホラン(20容積%)を含む有機溶媒混合物に溶解したリチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CF3SO2)2N(0.8mol/リットル)を含んでいた。約600〜1000ppmのピリジンが添加されて、電解質中での微量のジオキソラン重合の速度を低減した。]
[0070] 異なる量の水を添加された、上記に示した電解質組成物のサンプルを、導電性試験に付した。電解質サンプルをE−1(水添加なし、合計50ppm未満)、E−2(添加水200ppm)、E−3(添加水400ppm)、E−4(添加水1000ppm)、E−5(添加水2000ppm)、及びE−6(添加水3000ppm)と指定した。それぞれの電解質サンプルは、任意の水を添加して、指示された総含水量を得る前に、約50ppm未満の微量の水を含んでいた。それぞれの電解質サンプルの比導電率を測定し、ミリジーメンス/cm(mS/cm)で報告した。(mS/cm=1/ρ式中、ρは固有抵抗、ミリオーム×cmである)。比導電率測定の結果を表3にまとめる。



注:
1.ジオキソラン(20容積%)、スルホラン(80容積%)及びピリジン(600〜1000ppm)の溶媒混合物に溶解したLi(CF3SO2)2N(0.8mol/リットル)
2.電解質は、当初、水を添加する前に50ppm未満の水を含んでいた。添加した水の量を上記の表3に示す。]
[0071] 電解質導電性試験を行うために、まずガラスバイアル(内径7.62cm(3/4インチ))を電解質溶液で満たした。上記のそれぞれの電解質E−1〜E−6(表3)を、注射器でバイアルに適切な量の水を添加することにより試験した。電解質は、電解質中の含水量を除いて、上記に示したように同一であった。導電性試験は、まず約10.3mLの電解質溶液を収容するバイアルに白金めっきした電極を挿入することにより達成した。電極の先端を約6cmの電解質の高さに沈めた。沈めた電極は、それらの間に小さい間隙を有する2つの電極リードから構成されていた。AC電流を2つの電極リード間に適用した。AC電流発生源は、10ミリボルトの振幅と、約100〜100,000Hertzの周波数と、を有していた。電極リード間の電解質のインピーダンスは、Solartron 1255B周波数特性分析器(Solartron Co.から入手可能)と結合したSolartron 1287電気化学インターフェース(ポテンショスタット)を使用して測定した。電解質の導電率は、電解質のインピーダンスと、電極リード間の公知の間隙空間とから逆計算した。同じ試験をそれぞれの電解質溶液に適用し、伝導率の測定値を表3に示す。]
[0072] 試験結果の考察
AAサイズのLi/FeS2電池(表2)に関する上記の試験結果は、それぞれの試験プロトコルI、II、及びIIIに関して達成されたパルス状サイクルの総数が、驚くべきことに、これらの電池が全て試験プロトコルI、II、及びIIIに付されたときに、それぞれの電池グループA(<水50ppm)、B(水100ppm)、C(水200ppm)、D(水500ppm)、及びE(水1000ppm)の水の量が増大していたにもかかわらず、減少しなかったこと、を示している。加えて、試験プロトコルII及びIIIは、表2の脚注に示すように、全Digicam試験が完了する前に、電池を加速保管条件(高温保管)に付すこと、を含んでいた。これは、電池の長期間保管をシミュレートし、考慮に入れている。]
[0073] AAサイズLi/FeS2電池(表2A)に関する試験結果は、表2のデータと一致している。表2Aのデータは、電気試験(OCV−CCV)が、電気試験が適用された任意の所定の週数において、電解質中の含水量の関数としてあまり変化しないこと、を示す。これは、電池の内部抵抗が、試験した電池バッチの含水量が増大しているにもかかわらず安定であること、を示す。これは次に、パッシベーション層蓄積が電池の内部抵抗に直接関係するため、リチウムアノードでのパッシベーション層も、試験した電池バッチの含水量が増大しているにもかかわらず安定であること、を示す。]
[0074] それ故、Li/FeS2電池用の電解質、特に、1,3ジオキソランとスルホランとの溶媒混合物に溶解したLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)塩である好ましい電解質中の含水量は、電解質中に少なくとも約1000重量ppmまでの水であり得ると結論付ける。]
[0075] 表2及び表2AのLi/FeS2電池試験、及び表3に示した電解質導電率の測定値に基づき、約50〜2000ppm、約100〜2000ppm、約200〜2000ppm、約500〜2000ppm、及び約600〜2000ppmの水の含水量を有する電解質は、特に1,3−ジオキソラン及びスルホランを含む電解質溶媒混合物に使用できると思われる。]
[0076] 本発明について特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、当然のことながら、本発明の概念から逸脱することなくその他の実施形態も可能であり、即ち、その他の実施形態は本発明の特許請求及び均等物の範囲内にあることは理解される。]
权利要求:

請求項1
ハウジングと、正極及び負極と、少なくとも1つのリチウム金属及びリチウム合金を含むアノードと、二硫化鉄(FeS2)及び導電性炭素を含むカソードと、を備える一次電気化学電池であって、前記電池が、溶媒に溶解したリチウム塩を含む電解質を更に備え、前記電解質中の含水量が、電解質百万重量部当たり約100〜2000重量部の水である、電池。
請求項2
前記電解質中の含水量が電解質百万重量部当たり約200〜2000重量部の水、又は電解質中の含水量が電解質百万重量部当たり約500〜2000重量部の水、又は前記電解質中の含水量が電解質百万重量部当たり約600〜2000重量部の水、又は前記電解質中の含水量が電解質百万重量部当たり約100〜1000重量部の水、又は前記電解質中の含水量が電解質百万重量部当たり約200〜1000重量部の水、又は前記電解質中の含水量が電解質百万重量部当たり約500〜1000重量部の水、又は前記電解質中の含水量が電解質百万重量部当たり約600〜1000重量部の水である、請求項1に記載の電池。
請求項3
前記溶媒が、1,3−ジオキソラン及びスルホランを含む、請求項1又は2に記載の電池。
請求項4
前記電解質が、約70〜80容積パーセントの1,3−ジオキソランと、約20〜30容積パーセントのスルホランとを含む溶媒に溶解されたLi(CF3SO2)2N(LiTFSI)塩を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池。
請求項5
前記アノード及びカソードが、該アノードとカソードとの間のセパレータシートと共に螺旋状に巻かれている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電池。
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
2011-11-17| A761| Written withdrawal of application|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20111116 |
优先权:
申请号 | 申请日 | 专利标题
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